電磁波の人体への影響について
RVMXの回線設計ユーザーさんより電磁波の人体への影響についての問い合わせが有りましたので、調査結果を纏めました。
また、RVMX電磁波の人間に対する影響シュミレーションもご紹介しておきます。
但し、2020/10現在の情報で、今後変化するかもしれません。
1.電磁波について
-1.電磁波とは
電気が流れるところに発生するエネルギーの波のことです。「電気」と「磁気」という2種類の性質の違う波を「電磁波」と呼んでいます。
-2.電磁波の種類
「電気」(電場)は電圧が掛かると発生します。「磁気」(磁場)は電流が流れると発生します。
携帯電話やスマートフォン、wifiなどの電波もこの中に入りは「高周波」の部類に入ります。
電子レンジのマイクロ波も含まれます。
「低周波(50Hz〜60Hz)」は、一般的に家庭やオフィスなどのコンセントから供給される電流から出る電磁波です。
私たちの生活や健康に影響を及ぼす避けがたい電磁波です。
直流の電流からは理論上電磁波が発生することはありません。
-3.電磁波の発生源
自然界の放電・交流を扱う電気製品・電波を発する機器・マイクロ波を使った機器等から出ます。
交流電場の生物学的限界値(ガイドライン)
起きている空間 最大10V/m
寝室 わずかな負荷 1V/m以下
弱い負荷 1〜5V/m
強い負荷 5V/m以上
屋外では高圧送電線等よりの磁場の影響が大きいです。しかし、高圧送電線から200メートル以上離れていれば、通常は安全だと言われています。
家庭内で特に電磁波が強い製品
a.電磁調理器(IHクッキングヒーター)
b.電子レンジ
c.ミキサー
d.電気ストーブ
e.オーディオ類
f.乾燥機、洗濯機
g.ホットプレート
h.エアコン
以下の製品は、電磁波が強いというよりも長時間の使用で電磁波を浴び続けるため、家庭内では最も危険な製品
a.電気毛布
b.電気敷き毛布
c.電気カーペット
d.電気こたつ
e.パソコン
電磁波は特に、頭部への影響に注意が必要です。頭部付近で使用する製品には特に気をつけるべきです。
a.携帯電話
b.ドライヤー
c.電気シェーバー(100V電源使用のタイプ)
d.電動歯ブラシ(100V電源使用のタイプ)
一般的な家電製品からの電磁波発生量(磁場測定値例)
a.エアコン 20mG
b.ホットカーペット 30mG
c.カラーテレビ 20mG
d.ステレオ 20mG
e.アイロン 3mG
f.ヘアドライヤー 70mG
g.電気こたつ 100mG
h.掃除機 200mG
i.ビデオデッキ 6mG
j.洗濯機 30mG
k.電気シェーバー 100mG
l.電子レンジ 200mG
m.炊飯器 40mG
n.冷蔵庫 20mG
o.コーヒーメーカー 1mG
q.ファックス 2mG
-4.影響を受ける現象
a.刺激作用 周波数で10MHz以下で人体が導体として作用し感電状態と同じようになる、ビリビリとかチクチクとかの刺激が発生
b.熱作用 〃 100KHz以上で発生し、人体が誘電体と作用し誘電損失により発熱
c.光化学作用 可視光から赤外線の間で共鳴共振による刺激作用・熱作用が発生、紫外線では化学作用が発生
d.電離作用 X線や遠赤外線による電離放射による生体組織の構成分子や原子の電離(イオン化)が発生
-5.影響を受ける場所
a.電場は、電圧の大きさに比例して発生し、どんなものでも材質にかかわらず伝播し帯電します。
電気は電位の高いところから低いところへ流れる性質があり、なかでも電位の低い身体の表面に集まってきます。
b.磁場は電流の大きさに比例して発生し、からだの細胞レベルまで到達します。
発生源から一定の距離をとることで急激に減退していきます。
コンクリートでも貫通するほどのエネルギーがあり、そばにいる以上、防ぐことはできません。
2.電波について(ご質問趣旨から電波に絞ります)
-1.影響の出る帯域と現象
a.10MHz以下(特に100KHz以下) 刺激作用
b.100KHz以上 熱作用
c.5G携帯帯 確定はされていませんが、色々な心配な記事が出ています。
-2.規格・基準
WHO(世界保健機関)の見解(ファクトシート)も出ています
国際がん研究機関(IARC)が携帯電話の使用について“発がん性があるかもしれない”と評価
各国で電波防護規制がされています。
a.日本では、下記のような資料が出ています。
総務省より
電波防護指針
生体電磁環境研究推進委員会
生体電磁環境に関する検討会
電波の医療機器等への影響に関する調査研究
植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針
無線設備の電波防護指針への適合性調査
また、
独立行政法人 国立がん研究センターより携帯電話と発がんについて
環境省 身のまわりの電磁界について
-3.電波の強さ
-1.単位について
電力束密度(ミリワット毎平方センチメートル)
電界強度(ボルト毎メートル)、回線設計ではこの値が使われています。
磁界強度(アンペア毎メートル)
各値の関係は電力束密度=電界強度の二乗÷3,770=磁界強度の二乗×37.7
1V/m=120dBμV/m
-2.電磁界強度指針
総務省資料より
-4.人体への影響(総務省の資料より)
電波は、エックス線などの電離放射線と違い、物質の原子をはぎとる電離作用を引き起こしません。
では、まったく影響がないかといえば、短期的な影響として、次のものがあります。
a.刺激作用 きわめて強い電波を浴びることにより体内に影響が有ります。この周波数帯は、船舶の航行用等の特殊な用途に使用されています。
b.熱作用 携帯電話基地局や放送局などから発射される弱い電波を長期間浴びた時の健康影響(非熱作用)については、
現在のところ、熱作用による影響以外に根拠を示すことのできる影響は見つかっていません。
c.特に注意が必要と思われるのは、頭部の近くで電波を発する携帯電話やスマホの利用です。
現在はまだ明確な影響は確認されていないみたいですが、頭部への影響は有ると思います。
電磁波過敏症(EHS)
-5.安全の為の基準(総務省の資料より)
私たちの生活になくてはならないものとなった電波を、安全に安心して利用するために、国(総務省)は、過去50年にわたる国内外の研究結果に基づいて、
電波防護指針を策定し、電波の強さの基準値(一般環境では、50倍の安全率をとったもの)を定め、電波法による規制をしています。
具体的には、携帯電話基地局や放送局などで、発射する電波の強さが電波防護指針の基準を超える場所には、
一般の人が立ち入ることができないように柵などを設けることになっています。
また、頭の近くで使う携帯電話端末などは、あらかじめ、電波防護指針の基準(局所吸収指針)を守っていることを確認してからでないと販売できないようになっています。
3.その他
-1.電波などの直接影響を感じない低周波の電磁波による人体への影響が注目されています。
日本ではまだ取り組みが遅れていますが、大きな課題とされています。欧米ではいち早く、
人体への影響を考えて、電磁波防護基準の法制化がなされ、電磁波測定方法の規格化が進められています。
ただ、未だに研究途中であり、確定した評価までは至っておりません。
それでも無視できない一貫性が報告されており、一般的には人体に有害であると認められているのが現状みたいです。
-2.疫学的研究では、87年の米国サビッツ博士の調査において、
「2mG(ミリガウス)以上の磁場で小児白血病が1.93倍、小児筋肉腫瘍3.26倍」という結果が出ました。
-3.スウェーデンでは、1992年にカロリンスカ研究所を中心とした大規模な疫学調査の結果、
北欧3国集計で「2mG以上の磁場で小児白血病が2.1倍、小児脳腫瘍1.5倍」との調査結果を発表。
低レベルでも電磁波にさらされることにより、小児白血病やがんの発生率が増加する恐れが指摘され世界に大きな反響を呼びました。
-4.ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の見解
提供ソフトのQ&A
(有)RVMX