SDRを使った低価格RVMX電界強度測定器その他その他情報

SDRを使った低価格RVMX電界強度測定器その他その他情報


1.SDR受信機について

 

-1.SDR受信機の原理

  SDR受信機とは、受信した無線信号を直接ベースバンド信号に変換する方式を用いた受信機である。
  方法は受信したい信号と同じ周波数、あるいは非常に近い周波数の信号を内部の局部発振器で作り、受信信号と混合することで復調を行う。
  復調した低周波信号は、隣接した不要信号をローパスフィルタで除去し増幅を行う。
  この方式は中間周波数が0Hzになる為ゼロIF方式とも呼ばれる。または受信する周波数と内部の発振周波数が同じため、ヘテロダインに対して、ホモダインと呼ばれることもある。
  実際の構成ではイメージ除去の為、直交ミキサ(quadrature mixer)を使用し、90度位相をずらしたIとQ信号を取り出している。
  IQ信号とは、復調した低周波信号をI(In-phase)とQ(Quadrature-phase)信号(ベクトル信号)で表現し下記の式で表される。
  低周波信号の振幅 = sqrt(I^2 + Q^2)
  低周波信号の位相 = Arctan(Q/I)
  また、IQ信号はAD変換されて、PC等のソフトに渡される。
  実際には、復調した低周波信号は広帯域な周波数成分が有る為、サンプリングしてIQの集合(I[t]及びQ[t])としてPC等のソフトに渡される。
  ソフトでは、I[t] Q[t]信号を使い各種復調方式をソフト上で実現している。
 

-2.今回試したSDR受信機の構成

  上記の原理のように、直接ベースバンド信号に変換する為構成が簡単となりLSI化がされている。
  実際の回路はワンセグチューナー(低価格=千円程度)のドライバーを変更し、SDR受信機に変えて使用している。
  下記に実際に試したワンセグチューナーの構成を示す。
  米国NooElec社のDVB-Tの例  ANT -> チューナLSI(R820T)(30〜1700MHz) -> 復調LSI(RTL2832U) -> USB経由でIQ信号をPCへ
  中国ZOX社のDS-DT305BKの例  ANT -> チューナLSI(FC0013)(30〜800MHz) -> 復調LSI(RTL2832U) -> USB経由でIQ信号をPCへ
  使用したRTL-SDR用のドライバーはZadigを利用。
  今回の構成ではA/D変換後は8Bitデータ(0〜255)として出力される。
  チューナの利得は0〜50dB。
  また、RTL2832Uは28.8MHzでサンプリングしているので、復調可能な最低周波数は28.8MHzとなります。
  しかし、公開はされていないみたいですがサンプリングモード=3とすれば、直接入力となりDC〜28.8MHzも可能との報告もあり、今回のソフトではHFモードとして付加しています。
 

-3.ソフトによる復調例

  -a.AM復調
    I[t]信号(0〜255)とQ[t]信号(0〜255)を-127(DC除去=-127〜+128)して、SQRT((I[t]-127)^2+(Q[t]-127)^2)で振幅を取り出せる(AM復調)。
  -b.FM復調(位相変調)
    I[t]信号(0〜255)とQ[t]信号(0〜255)を-127(DC除去=-127〜+128)して、Atan(((Q[t]-127)-(Q[t-1]-127))/((I[t]-127)-(I[t-1]-127)))で位相変化を求める(FM復調)

2.LNA(低雑音プリアンプ)について

 今回のワンセグチューナーによるSDR受信機では感度がもう少し欲しいところです。
 よって、LANを試してみました。
 折角本体(ワンセグチューナー)が低価格なので、出来る限り低価格で実現したく、株式会社 コスモウェーブ の広帯域プリアンプ パーツ実装基板 LNA2748C(2,160円)を利用。
 周波数:10MHz〜2400MHz
 利得:30dB以上(1GHz)
 NF:2.8以下
ケースに収納したLNA
 結果は、利得は予定通り得られだが、広帯域過ぎてFM放送等の強い信号もさらに増幅され、SDR受信機が感度抑圧を起こしてそのままでは使えないことが判明。
 対策は必要な測定帯域のパンドパスを用意して利用すると可能と思われる。

3.UpConverterについて

 HFはサンプリングモードを3にすることで、可能となっていましたが、感度が低いのとイメージが多く使いずらいため、UpConverterを試してみました。
 折角本体(ワンセグチューナー)が低価格なので、出来る限り低価格で実現したく、TT@北海道製のHFCONVキット(オプション無しで2,500円)を利用。
手配キット
 感想は、組み立てには非常に苦労しました、昔は(20年位前)よくハンダごてを使い色々な物を作っていましたものですから舐めていました。
 しかし、現在の部品は想像していたより遥かに小さく、先ずは部品取り出し時にLEDが何処かへ飛んでいきました?。
 また、ハンダ付けが悪く、部品の取り外しと取り付けを繰り返しているとき抵抗も1個紛失し、DBM(バランスミキサ)も端子が取れて散々でした。
 しかし、無くしたものは代替えを使い何とか動作するようになりまた。
 また、完成品はAmazonより販売しています
SDRと接続し動作中
中波放送を適当なアンテナを付けてSDR受信機で受信中
 また、感度はもう少し有るかなとも思っていましたが、回路からすると(AMP無しのバランスミキサのみでの変換)こんなものかもしれません。
 当初予定していたHF FAXやHF ACARSは未だ受信できず、ANTをチャンとしたものに変更しないとダメかもしれません。

4.関連情報

   -1.RVMX_SDR 基本機能
   -2.RVMX_SDRADSB 航空機衝突防止機能
   -3.RVMX_SDR ACARS機能
   -4.SDRを使った低価格RVMX電界強度測定器その他その他情報
   -5.RVMX_SDRを使ったADS-Bの収集データよりフライトスケジュールを作成
   -6.SDR電界強度測定器の感度確認と校正
   -7.SDRを利用したRVMX GNSS試験機能の説明です。
   -8.RVMX_SDRを使ったADS-Bので2018年版よりの追加・変更機能(参考機能)
   -9.SDRを利用したAIS受信解析機能の説明です。

提供ソフトのQ&A
(有)RVMX